国民民主党の玉木雄一郎代表は23日、石破茂首相との党首討論に臨んだ。玉木氏は、物価高や就職氷河期世代に対する政府・与党の姿勢を批判した。首相は「サボっているわけではない」「効果を挙げている」などと反論した。
取って配るのは無駄
「国民は物価高で本当に困っている。まず聞く。ガソリンの暫定税率はいつ廃止するのか」
玉木氏は質問の冒頭でこう切り出した。首相は「熱心な協議の末に結論が得られることを心から期待をしている」と述べた。昨年12月、自民、公明両党と国民民主は暫定税率廃止で合意したものの、首相は今月22日、5月22日からガソリン価格を1リットル当たり10円引き下げる方針を発表した。これを受けて玉木氏は「協議を行ってない。10円の補助金によるガソリン値下げを決めてしまうんでしょ。(税を)取って(補助金を)配ると無駄が生じるから、減税をやろう。北海道の人と話したが、10円にがっかりしている」と不満を吐露した。
首相は「協議が真摯で生産的で建設的なものであるということに確信を持っている」と改めて述べたが、玉木氏は「榛葉賀津也幹事長も『聞いていない』と言っている。真摯な議論は行われていない」と重ねたのに対し、首相は「10円にがっかりしているというが、(ロシアによる)ウクライナ侵攻前の水準まで下がる。財源の確保が焦点だ。そこを目指して3党の間で協議が行われていることであって、わが党がサボっているのではない」と反発した。
玉木氏は、政府が今国会への提出を目指す年金制度改革法案の提出が遅れていることも言及した。首相は「きちんとした形で出すという方針に変わりはない」と明言し、自民の席から拍手が起きたが、玉木氏は「自民は拍手している場合じゃない」と語気を強めた。
法案に関し、厚生労働省は自民に基礎年金(国民年金)の底上げを削除する方針を提示した。基礎年金の底上げには会社員らが入る厚生年金の積立金を活用するため、厚生年金の受給額が一時的に減る。これに、参院選に不利になることを恐れた自民内から批判が出ていた。
選挙に不利だからやめるのか
玉木氏は就職氷河期世代が受給する年金の水準が低くなることを問題視した。「政策の失敗もあって正社員になれなかった世代は、厚生年金の保険料が十分払えていない。政府の当初の案は、反対もあるかもしれないが、就職氷河期世代の最低限の年金を保障する意義があったのに、選挙が近づいて不利だからやめるのか」と訴えた。
首相は「就職氷河期の方々で正社員、役員になる数は飛躍的に伸びている。当初の目標を超える形で、われわれとして努力をし、着実にその効果を上げつつあるのは間違いない。何もやっていなということはない」と強い口調で語った。そのうえで「選挙対策など考えていない。十分に納得してもらえる法案を提出するために最終的な議論をしている」と述べた。
https://www.sankei.com/article/20250423-J4JJ52LPLVADHE2R2EPSBN3MMM/