
江戸川のスーパー堤防 宅地地中にコンクリ片
国と東京都江戸川区が北小岩で行った「スーパー堤防」事業で昨年六月、地中から大量のコンクリート片が見つかりながら、地域住民に知らされないまま除去されていたことが分かった。
専門家は「情報をオープンにしなければ行政は信頼を失う」と批判している。
この場所では、国土交通省の堤防建設と江戸川区の土地区画整理事業が進められていた。
国交省によると、堤防はいったん完成したが、宅地造成後の昨年一月、江戸川区が地盤を調べたところ、約束した強度に満たないことが判明。
このため、国交省が昨年五月から地盤改良に着手。盛り土を地下五・五メートルまで掘り下げたところ、一部からコンクリート片計約百四十八立方メートルが出てきた。
国交省はこれを約千八百万円の追加工事で取り除いたが、この事実は地権者や住民に説明されなかった。
その後、住宅建設も終わったが、今年八月、初鹿明博衆院議員(立憲民主)の元に、除去工事の写真などが届いたことから発覚した。
コンクリート片は盛り土する前の元の地面の地下四十〜百二十センチに埋まっていたことから、同省治水課の斉藤喜浩課長補佐は「いつ混入したかは不明。必要な措置をし、宅地の地盤強度を確保した」と語る。
江戸川区の柿沢佳昭区画整理課長は「説明することで、地権者らに不要な不安を与えてはいけないとも考えた」と話した。
二十八日、国交省から初めて説明を受けた地権者の宮坂健司さん(65)は「きちんと地権者や住民に周知することが必要。話さないと隠したように感じてしまう」と話した。
京大の今本博健名誉教授(河川工学)は「土中にコンクリート片が交じっていれば、地震ですき間が沈下したり、液状化につながる可能性もある。強度があれば説明が不要になるわけではない。誠意を持って説明すべきだ」と話した。
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