
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200716/k10012518661000.html
阿波おどりの中止が経済に及ぼす影響は、どこまで深刻なのか。
私たちは、民間のシンクタンク「徳島経済研究所」と共同で、徳島市とその周辺の11の市と町にある166の宿泊施設を対象に緊急のアンケート調査を行いました。
その結果、阿波おどりの中止が発表された4月以降、宿泊をキャンセルした人の数は延べ1万2000人余り。損失は少なくとも2億円を超えることがわかりました。
さらに、このまま状況が改善しなければ「廃業を検討する可能性がある」と答えた施設が全体の3割にも上ったのです。
「先が見えず不安な毎日です」
「このままの状態が続くと経営の続行は不可能」
自由記述欄には、切実な声がいくつもつづられていました。
アンケートに深刻な声を寄せた徳島市中心部のホテルを訪ねました。
見せてくれたのは、ぎっしりと予約の詰まった去年の宿泊台帳と、真っ白なままのことしの台帳。
このホテルでは毎年、阿波おどりの期間中は90ある客室が4か月前には満室になっていました。
しかし、ことしは阿波おどり中止の発表以降次々とキャンセルが寄せられ、1か月前でもビジネス客など20%ほどしか予約が入っていません。
お盆の時期でもあり、1室当たりの宿泊料金はふだんの2倍程度の特別価格。
キャンセルによる損失はおよそ1000万円に上るといいます。
損失は宿泊だけではありません。毎年、阿波おどりの期間は帰省客を迎える宴会や同窓会も数多く行われ、大きな売り上げにつながっていたのです。
支配人の梯学さんは、苦しい胸の内を語りました。
ホテルサンシャイン徳島 梯学支配人
「ふだんできない場所の掃除などをしていますが、3か月以上そういう状況なので、もうあちこちがピカピカです。エアコンも2度掃除しましたし、ベッドパッドもひっくり返してきれいにしました。
阿波おどりがない夏は生まれて初めての経験でいつまでも銀行からの融資に頼るわけにもいかず、頭の中で廃業を考えているのが現状です」