
経済的メリットを選択、母親と同居
https://news.yahoo.co.jp/articles/c4e1f1fe26289e174033b53d9f9183c64425351f?page=1
朝夕に母と交わす何げない会話が心地よい。「今週は何か予定ある?」「きょうは忙しかった?」。週の半分は母と夕食を共にし、週に1度は食後に一緒にテレビを見て過ごす。
カリフォルニア州のサンフランシスコ湾に面するフォスターシティ。ゲーム開発会社に勤めるクレメント・セロさん(26)は、「ベイエリア」と呼ばれる高級住宅地の実家で母アントワネットさん(63)と2人で暮らしている。
パイロットの兄(30)は高校卒業後、18歳で家を出たが、自身は親元を離れたことがない。新型コロナウイルスの感染拡大で一昨年から在宅勤務となった。オフィス代わりの自室で、1日の大半をパソコンに向かって過ごす。
実家暮らしは経済的メリットが大きい。年収は8万ドル(約920万円)以上。十分な収入のように見えるが、ベイエリアは家賃や物価の高騰が著しい。「1ベッドルーム」(日本の1LDK)の平均は、サンフランシスコで月3330ドル(約38万円)。フォスターシティでも月3075ドルに達する。
「親と同居していると『ママっ子』と思われ、ネガティブな見方をされることは確かだ」。そう自覚しつつ、「母がそばにいるのはありがたい。食事の心配もなく、自分のことに集中できる。将来に向けた節約にもなる」と話す。
同僚からは「君はラッキーだ」とうらやまれ、アントワネットさんも「今の状態にとても満足している」と顔をほころばせる。