地獄・極楽の世界を表した「往生要集(おうじょうようしゅう)」で知られる奈良出身の名僧、恵心僧都(えしんそうず)源信(942~1017年)の千年忌を記念する特別展「源信 地獄・極楽への扉」が、奈良市の奈良国立博物館で開催されている。足跡をたどるとともに六道絵(ろくどうえ)や阿弥陀来迎図などの美術品を通じ後世への影響を紹介。9月3日まで。
源信は、浄土信仰の當麻寺がある現在の葛城市で生まれ育ったと伝わる。比叡山延暦寺に入って仏教を学び、40代前半で極楽往生の指南書「往生要集」を著すなど、浄土信仰を広めた。こうした名僧と関連する美術品を知ってもらおうと、特別展では会期中、計約140件を展示する。
展示品のうち、高雄寺(葛城市)に伝わった平安時代の「観音菩薩立像」(重要文化財)は母が祈願したところ源信を授かったという伝説が残る像。南北朝時代の作という聖衆来迎寺(滋賀県大津市)の「恵心僧都源信像」(6日まで)は源信を描いた現存最古の肖像画とされる。
鎌倉時代の名品である同寺の「六道絵」(国宝、6日まで)は地獄道や餓鬼道、畜生道、阿修羅(あしゅら)道、人道、天道の6世界を全15幅で描いた大作だ。
同館の北澤菜月主任研究員は「源信の生涯と、地獄など昔の人が抱いた死後の世界へのイマジネーションを体感してもらいたい」と話している。
月曜は休館(14日は開館)。一般1500円、高校・大学生900円、小・中学生500円。
以下ソース:http://www.sankei.com/region/news/170801/rgn1708010021-n1.html(産経ニュース)